がん体験記

がん体験記 発症編② ~生検から我慢の時間、そして膨らむ不安~

2020年3月13日

 

顕微鏡

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初めての生検

2011年8月

2011年8月下旬。生検手術を受ける。

検査手術とはいえ、手術は初体験になる。

「ピッ、ピッ」とドラマでよく聞く音が聞こえてくる。少し緊張感を感じた。

手術スタッフの方から挨拶され、手術が始まる。

今回の生検は局所麻酔。

右脇に麻酔の注射をうたれる。一瞬だけ痛みがあったが、すぐに麻酔の効果が現れる。

右脇の腫瘍部分が切られていくが、痛みはほとんどなかった。

先生と看護師さんが時折世間話をしてくれる。

そうこうしているうちに30分くらいだろうか。何事もなく無事生検を終えた。

手術中、親には悪性の可能性が高いと話があったようだ。

 

2011年9月

生検から数日後に抜糸。検査は1ヶ月程経ってから結果が出る。

その間、右脇のボールは残ったまま。ストレスのかかる生活は続いていた。

そして9月になり、生検の結果を聞きに病院へ向かった。

 

また長い待ち時間。ようやく名前を呼ばれ診察室へ。

この頃から診察室のドアを開けるのが嫌になってくる。

期待している答えが返ってきたことが一度たりともないため、いいイメージが浮かばない。

ドアを開け、先生から検査結果が伝えられる。

 

医者「結果は良性でした。」

当然だろう。運動してケガをしただけなのだから。そんなことを思っていた。

そして、

医者「悪性であれば腫瘍は大きくなりますが、良性であれば徐々に小さくなります。

2ヶ月程しばらく様子をみてみましょう。」

と言われた。

「様子をみる」これが私にとって嫌な言葉だった。十分様子をみてから病院へ行ったからだ。

右脇を痛めてから3ヶ月程経つが、様子をみて治る気はしていなかった。

まだ右腕が使えない生活が続くのかと思うと憂鬱だった。

 

早く治したかった。良性なら手術で腫瘍を除去できないかと尋ねると、

医者「腫瘍の位置からして神経を傷つけてしまう可能性がある。」

しびれが残ったり、最悪右腕が動かせなくなるそうだ。

そう言われてしまうと、もう待つ以外の選択肢はない。

 

「悪性だったとしても腫瘍を手術で取るのでは?」と思った方がいるかもしれない。

悪性リンパ腫は白血病と同じで血液がんの仲間。

手術ではなく抗がん剤で治すタイプのがん。

それに対して「胃がん」や「大腸がん」のような臓器タイプは病巣を手術で取り除けば

抗がん剤の治療は必要ない。

(転移がある場合は「手術+抗がん剤」のパターンもあります。)

 

我慢の時間

2011年10月

良性という結果を聞いても、腫瘍が少しずつ小さくなるイメージはまったくない。

何か知識があるわけでもないが、そんな感覚があった。

それでも医者の言葉を信じて、ただ待つばかり。

 

ちょうどこの時期に会社の草野球チームの試合があった。

私は左打ちなのだが、普通に振ろうとすると右脇の腫瘍が邪魔してバットは振れない。

ボールは10メートルくらいしか投げられない。

それでも次いつ野球ができるかわからない。行くことにした。

普段は1番か2番でショート。

だけど、この日は打順は9番、ポジションもファーストにしてもらった。

左ではバットを振れないので、右打席にした。

右脇を絞めないように左手1本で振ればなんとか振れる。

本当にたまたまだが、それでヒットが打てた。

守備もボールを捕るだけなら無難にこなせた。

久々に野球をして楽しかった。けどやっぱりボールを思いっきり投げて、普通に打ちたい。

「早く治してまた野球をしよう!」と声を掛けてもらい、

「早く治したい!」という気持ちが日に日に強くなっていった。

 

2011年11月

そしてもう1ヶ月が過ぎて11月になった。

悪い予感は当たった。予想通り、腫瘍は小さくなっていない。

むしろ大きくなっている。大きさはゴルフボールくらいになっていた。

 

このタイミングで「もしかしたらケガではないのかもしれない。」と少し疑い始める。

まさかとは思いながらも再診察の日はやってきた。

いつも通り、予約をしているにも関わらずかなりの待ち時間。

この時間がとてつもなく嫌になってきた。

※待ち時間が長いのは、治療中の患者さんが優先されるためです。

ようやく呼ばれ、診察室へ。

先生に腫瘍が大きくなっている事を伝えた。返ってきた答えは、

医者「もう一度生検をしましょう。」

だった。

前回は腫瘍の悪性部分を切れなかった可能性があると言う。

「またやるのか。。何も進展していない。逆戻りだ。」と思いながら、

足取り重く、この日は会社へ戻った。

 

会社へ帰る途中、急に不安が膨らみ始めた。

もし悪性なら、最悪死ぬかもしれない。

良性でも腫瘍が小さくなっていかない以上、手術で切除するしかない。

そうなると場合によっては腕が動かなくなるかもしれない。

もう二度と野球はできない。右腕はもう自由に動かせなくなる。

そんなことばかりが頭の中をよぎる。

急に涙が流れてきた。足を止めて、心を落ち着かせる。

なんとか涙を止めて会社へ戻り、自分の席についた。

 

会社の同期に、

「目が赤いけどどうした?」

と気づかれ、

「ちょっと目にゴミが入っちゃって。」

とお決まりのごまかし文句を言い、トイレにむかった。

目が元に戻るまでトイレで時間を潰した。

ただ元に戻そうとすればするほど、さっき止めた涙がでてくる。不安が消えない。

随分時間を使ってしまったが、仕事に戻った。

 

仕事は集中しづらくなってきたが、体調自体は良かったので問題なくこなせていた。

体調が良かったことが「悪性ではない」と信じれる材料になっていた。

発症編2まとめ

ここまでの話

  1. 初めての生検を受ける
  2. 結果は良性
  3. しばらく様子をみる
  4. 腫瘍は小さくならず再度生検を受ける事になり、不安が増してきた

腫瘍ができはじめてからこれで半年程経過しています。

病気になるまでは医者はちょっと診ただけで原因が分かると本気で思っていました。

でも医者は神様ではありません。

検査をしなければ病気を特定できません。その間の時間も短くありません。

不安な気持ちで過ごすことも多いでしょう。

この半年の間、普通に仕事を続けていました。

何か別のことで頭をいっぱいにするのも良いかもしれません。たまには気晴らしをするのも良いです。

心を良い状態にして、この不安な期間を乗り切りましょう!

 

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