がん体験記

がん体験記 闘病編① ~初めての抗がん剤~

2020年3月15日

薬

 

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治療前の検査

腫瘍が悪性であることがわかると、治療する前にいくつか検査が必要になる。

まずはPET検査というものを受ける。

PET検査は検査薬を点滴した後に体を機械で撮影する。

そうすると、撮影結果でがん細胞部分だけ色が変わって診ることができ、

がんが体のどのあたりまで広がっているか確認ができる。

 

後日、その結果を医者から伝えられる。

撮影結果を確認すると「右脇」は当然のこと、「左耳の後ろ」、「股関節」、「お腹」と、

違和感がある箇所とほぼ一致していた。

年齢が若いこともあり、ステージはⅢとⅣの間というところまで進行していた。

※ステージはMAXがⅣです。悪性リンパ腫の転移具合を指します。

進行具合が考慮され、治療方針は「抗がん剤」だけでなく「放射線治療」も合わせて行う方針となった。

まずは抗がん剤を開始し、その後放射線治療を行う。

抗がん剤はABVD療法という治療法で、2週間に1回の点滴を合計16回繰り返す治療法であった。

※「4週間に2回を1サイクルとして8回繰り返す」が正しい説明ですが、わかりやすく2週間に1回と記載しました。

抗がん剤治療中は入院はせず、通院して点滴を受ける形式となる。

順調に治療を受ければ抗がん剤治療は8月頃に終わる予定だ。

 

放射線治療が必要になると、腫瘍の位置に印を付けるため「入れ墨」を入れる。

抗がん剤治療をした後は腫瘍が縮むため、どこに放射線を当てたらいいのかわからなくなってしまう。

そのためにホクロ程度の大きさの「入れ墨」を入れるのだが、これも地味に痛い。

チクチクと針を入れられる。担当されてる方も、

「背中いっぱいに入れ墨を入れる人は根性すごいよね!」と言っていた。

そんな話をしながら入れ墨入れが終わった。

 

もう一つ必要な検査がある。それが「骨髄検査(骨髄穿刺)」だ。

「骨髄検査」は腰に注射針を刺して、骨の中にある骨髄組織を採取する検査のこと。

この検査をすることで、造血機能や血液疾患の原因、治療法の選択、治療効果の判定ができるらしい。

そしてこの検査は事前に麻酔はするが「痛いかもしれない」と聞かされていた。

まず注射針は通常よりも太い。

さらに骨髄液を採取する時に痛みを感じやすいとのことだった。

 

腰に麻酔の注射をする。多少「チクッ」とするが、そこまで問題ではない。

「痛かったら教えてください。麻酔を追加しますので。」と担当の方が声をかける。

太い注射針がうたれる。

始めは麻酔が効いており、痛みは感じなかったが、奥に進むと痛みが強くなっていく。

どうにも耐えられず麻酔の追加をお願いした。

最深部に到達し、骨髄液が採取される。

「痛い!」

表現が難しいが、何とも「気持ち悪い痛み!」であった。

刺される痛さとはまた別の痛みだった。

また涙があふれてきた。

この検査は二度としたくない。終わった後は少し放心状態が続いていた。

 

闘病生活の始まり

2012年1月

年が明けて2012年。闘いの年が始まる。

2012年1月5日。治療開始前の最終出社日。

出来る限り区切りよく仕事を終えたかったが、

やはり中途半端な状態で仕事を抜けることになってしまった。

突然休むことになってしまい、周りに申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

次回出社日はメールで伝えると上司に伝え、帰宅した。

帰り際、同期がお守りをくれた。ありがとう。

 

1月6日。初回治療日。

抗がん剤の治療する日の流れは以下。

  1. 血液検査、尿検査を受ける
  2. 体調に問題ないか、検査結果に問題がないか医師から診察を受ける
  3. 問題がなければ抗がん剤治療

血液検査では特に問題なく、抗がん剤治療を予定通り行うことになった。

※体に炎症がある、風邪をひいている、体が弱っているなど、体調が良い状態でないと治療は受けられません。

通院治療センターの担当看護師さんから抗がん剤について説明を受けた。

 

主な副作用は以下の通り。一通りの説明を受けた。

  • だるさ
  • 吐き気
  • 手足のしびれ
  • 口内炎
  • 免疫力低下
  • 脱毛

時期が冬ということもあり、インフルエンザや風邪には要注意と説明を受けた。

肺炎を引き起こしてしまい、死んでしまう可能性が高くなるらしい。

ただ、気にしていた吐き気は薬により大分抑えられるとのことだった。

点滴時間は2時間くらいだろうか。

点滴自体が初めての経験だったため、かなり長く感じ、しんどかった。

点滴をする薬の中でも血管が痛くなる薬(ダカルバジン)が1つだけあるのだが、

この薬を点滴している時間は一層長く、苦痛だった。

※腕を温める処置をして頂き、痛みが軽減されました。

 

全ての薬の点滴を終え、ようやく家に帰る。朝から病院に来ていたが、すでに夕方。

治療直後は特段体調が悪くなることはなかった。家に帰る途中も変化はない。

「なんだ。楽勝じゃん。」と思っていたが、数時間後に体調に変化があらわれる。

体が熱くなり、頭が揺れる。

頭が重くなってきたので、食事はあまりとらずにすぐに寝た。

寝たというより倒れるように寝るしかなかった。

寝てる間、体はずっと熱いまま。

そして腫瘍のある右脇が「バチバチ」と音をたてているかのような感じを受けた。

 

翌朝、目が覚めると、尋常ではない大量の汗をかいていた。

風邪をひいた時も汗がかなり出る方だったが、それとは比較にならないくらいの大量の汗。

気になる右脇の腫瘍を確認すると、ゴルフボールサイズだった腫瘍がかなり小さくなっていた!

一晩だけで4分の1くらいの大きさになっただろうか。

「いける!これはいけるぞ!」と一気に気持ちが高まったのを今でも覚えている。

 

右脇の腫瘍以外にも、首痛の原因だった「左耳の後ろ」、そして股関節の違和感も軽減されていた。

治療後の翌日だけでなく、2~3日の間は腫瘍が小さくなっていく感覚があった。

副作用の方は点滴後1週間は体の重さ、多少の気持ち悪さがある。

ただ1週間を過ぎると体調は徐々に回復していった。

1週間過ぎた後なら出社できそうだなと思い、

次回の抗がん剤治療の前の日に、一度出社すると会社へ連絡を入れた。

 

副作用で地味に苦痛だったのが「口内炎」、「味覚変化」だった。

食事は「なまものは避けて、なるべく消化が良いもの」と医者から言われていた。

口内炎は中々収まらず、刺激が強い食べ物はほとんど食べられない状態だった。

好きな食べ物、以前は特段苦手ではなかった食べ物も「味覚変化」で食べられなくなった時もあった。

 

抗がん剤治療をして2週間が経つ。治療後初の出社。

会社へ簡単に現状の話をして、これから2週間に2、3回ペースで出勤をさせてくださいと願いでた。

抗がん剤治療後1週間が経てば、大分落ち着いてくるため、出社できるだろうと自分で判断した。

この日は同期と昼ごはんを食べた。

「もう脇の腫瘍ほとんど残ってないぞ!」と嬉しそうに話した。

そして中途半端になっていた仕事の整理をした。

新しい仕事はしていない。というより新しい仕事は振られない。

分かってはいたが仕事の役に立っていない感をすごく感じてしまい、少し虚しさが残った。

 

闘病編1まとめ

ここまでの話

  1. 治療前に必要な検査を受けた(PET検査、骨髄検査、放射線治療用入れ墨)
  2. 抗がん剤治療を開始
  3. 腫瘍が一気に小さくなった
  4. 口内炎、味覚変化の副作用が辛かった
  5. 会社は治療1週間後に2、3回行くと決める

 

生検の時も骨髄検査の時もそうですが、痛みと同時に不安を感じるようになっていました。

当時25歳ですが、涙を流す程痛かったです。

ただ相当精神的にキテましたので、「痛みだけの痛み」が泣くほど痛かったどうかは正直わかりません。

痛かったら麻酔を追加してくれますので、痛かったら「痛い!」と早めに言うようにしましょう。

 

副作用は人によって感じ方や症状のあらわれ方が変わってきます。

私の場合、1週間が経過すればそこそこ動けるようになりましたが無理は禁物です。

治療を受けながら働くか、始めから休むか判断に迷うかと思いますが、

一度治療を受けてから判断することをお勧めします。

 

続きはこちらです。

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